量が多すぎるので、大雑把な説明で割愛させてください。
内容は、旧版の復刻技能、TNX掲載の特技を強化する特技、完全新作特技といった感じ。
復刻技能は文字通り昔からある特技の焼き直しなので、自然に受け入れられると思います。とは言っても、名前が別物だったり、根幹から効果が変わっていたりしているものもありますが。
強化技能は基本的にTNXに掲載されていた秘技が対象で、〈○○Ⅱ〉といった分かりやすい特技名が付けられています(ごく一部例外があるので注意)。[タイミング:常時]で持っているだけで効果を発揮するものが多いですが、組み合わせの必要がある場合もあるので、取得の際は一般技能のレベルに注意してください。
強化系のスタイル技能は意外と数が多く、組み合わせることで効果を変更したりタイミングを変えたりと、戦略すら変えてしまうものもあったりします。
面白いのは、戦闘系スタイルに与えられる「対象となる特技の上限レベルをレベル分だけ開放する特技」です。簡単に言ってしまえば、2倍経験点払えば上限以上にレベルを伸ばすことができるようになるわけです。
まあ、その強化技能自体にも上限レベルが存在するので、やはり野放図に達成値を伸ばせるわけではないので、ネタや演出としての役割が大きいとは思いますが。
そんなこんなで、各スタイルの追加技能をさくっとまとめ。
・カブキ
強化が多め。復刻は山札判定の達成値を伸ばす〈スーパークール〉の復活で超クール。
面白いのがセットアップで使用し、自分がAR0になる代わりにエンゲージを対象にカット中続く修正値を付与する〈☨オンステージ〉。AR0でも行動できるように調節すれば、今までにないタイプの補助系キャストになれそう。
・バサラ
〈☨元力〉の強化技能が多数見られる。特にダメージを増加しつつ対決に〈自我〉を強要する〈☨理力武装〉は面白いが、秘技枠を消費することを思うとコストが重い。
他には秘技の上限数を開放する〈完全血統〉や、〈☨元力〉で連続攻撃を行う〈※多重発動〉などなど。〈☨確率操作〉のこともときどきは思い出してあげてください。
・タタラ
ほとんどが強化技能で、取得することでタタラの技能がかなり扱いやすくなる。AR消費を無効化する〈アドバイスⅡ〉や、〈スーパードクター〉をダメージ適用直後に行えるようになる〈☨緊急手術〉など、使用感そのものを変えてしまう技能も。
そして、究極のフレーバー技能である〈※超テク〉爆誕。ようするに判定が必要な《タイムリー》なのだが、効果も使い方もアバウトすぎて、他にいい奥義が思いつかなかったから取りあえず入れたとしか思えない存在感を発揮している。
・ミストレス
セットアップ補助系のスキルがさらに増加して、姐さん女房ここに極まれり。ARも消費しないので、今後はぜひ「セットアップ厨」という言葉を流行らせていきたい所存。
スタイル技能によるフレーバー的行動制限を解除してしまう〈※乙女の祝福〉は、色々と面白いけど奥義なのがネック。シナリオギミックに組み込むと、神業演出に頼らない新しい道が切り開けるかも。
・カブト
〈最後の砦〉復活だが効果は「レベル+1点軽減」と若干控えめ。一方で〈見えざる盾〉として精神攻撃にもカバーリング可能になり、ますますカブトに死角がなくなっている。地味に〈勇名〉という情報収集特技が追加されているのも美味しい。
他にシールドバッシュできるようになる〈☨盾打ち〉や、パリー後再起動する〈※攻防一体〉など。秘技版〈金剛〉であるその名も〈☨金剛Ⅱ〉は、秘技故にコストが重く活躍の場が得られるかは未知数。
・カリスマ
セットアップで追加BSを相手に叩き付ける〈憎しみの的〉〈触れえざる者〉が、今後どう転んでいくかが面白い感じに。さらにそこから対象を拡張する〈☨名将〉がコンボできるという状況(〈協調開始〉と組み合わせても意味ないのであしからず)。
あとはトループ取得技能の〈☨親衛隊〉も今後を占う試金石となるか。おまけに戦闘系スタイルしか選択できないので注意。
・マネキン
セットアップ中に〈一期一会〉できるようになる〈千載一遇〉でチャンスを掴めるか。〈パトロン〉は地味に美味しいが、〈へらず口〉は扱いの難しいところ。
他にも妨害系技能〈魔女の指先〉が1カット1回ながらAR消費なし、肉体ダメージ(!?)に+【感情】する〈☨魔女の一刺し〉、セットアップ中に他者を動かす〈☨ラブリーコール〉など、これまでのマネキンにはなかった特技が追加されている。
・カゼ
〈☨ダイレクトロール〉をメジャーアクションで使用可能になる〈ダイレクトロールⅡ〉出現で、カゼの扱い方がかなり変わってきそう。
他にもカゼの同乗者にしか使えないダメージ増加技能〈☨ナイトフォース〉や、SF分だけ達成値を減少させる〈☨フェイントターン〉など、ARを消費しない系補助技能が追加されている。
・フェイト
何気に隙のない特技で優秀なフェイトだが、追加技能もやっぱり優秀。精神・社会ダメージを軽減する〈ワイズクラック〉は特技でコストも安いので、正義を貫きたいフェイトにおすすめ。
一方で、自分で自分を鼓舞する〈探偵の勘〉や、他者の情報収集をフォローする〈☨裏付け調査〉。サイコメトラーもビックリな〈プロファイリング〉など、どれもこれもネタになる上に実用性も兼ね備えている技能ばかり。
・クロマク
腹心向け技能や腹心用技能の追加で他スタイルより多めの追加。リアクションを〈信用〉で行う〈帝王の意地〉〈帝王の気概〉など、昔のエグゼクを彷彿とさせる技能が追加されている。
あとは札束に殺意を込めて殴る〈☨支配者の拳〉が面白いか。どちらにしても裏舞台系の技能がまったく追加されていないのが残念。
・エグゼク
セットアップで使用しダメージを強化する〈戦術予報〉は、なんと組み合わせが〈社会:企業〉。これを受けてリビルドするキャストもいそう。
それ以外だと、トループ召喚技能〈☨直属部隊〉がクグツ限定じゃないのはちょっと意外か。仲間のダメージを+【外界】する〈☨ブラックコーポ〉があり、他の補助系スタイルとはちょっと違う方面でのサポートが期待できる。
・カタナ
〈交渉〉〈白兵〉で殴りながら情報収集はできないと言っておきながら、肉体言語で事を進める〈デスペラード〉が追加。しかし、リサーチで使用できる技能が増えたのは貴重。
他は順当にカタナカタナしてるが、バッドステータスの補正を無効化する〈☨悪辣〉や、相手の撤退を禁止した上で[BS:衰弱]まで与える〈※血戦〉など、結構無慈悲な特技が追加されている。
・クグツ
特技的には不遇な面の多いクグツだが、追加特技もやや不遇、というか扱いづらい感じに。
〈☨メイデイ〉は例に漏れずクグツしか呼び出せない仕様。ダメージを受けた際にカウンターで相手の武器を[捕縛]する〈☨肉鞘〉はARこそ消費しないものの、[射程:至近]と肩を叩きたくなる性能。
・カゲ
順当に戦闘能力を高める特技が取り揃えられ、より忍者っぽい感じに。色々と物議をかもしたナインの〈変異抜刀〉もここでお目見え。
新境地としてはムーブアクション中にドラッグを使用できる〈薬師走り〉やセットアップに相手のCSを減らす〈☨影縛り〉など。
・チャクラ
全チャクラ待望の達成値上昇技能〈拳法〉が登場。パリーにも有効で弾きカブト注目、かと思えばウェットなら武器を使用しても達成値が上昇したりする。〈☨呼吸〉復活だが判定に勝利する必要があり、おまけに反撃はリアクション可能に(その上勝利しても攻撃はしっかりと喰らう)。
あとは〈錬気〉と特別に併用できる〈硬気功〉(効果が重複できるわけじゃない)やムーブアクションを犠牲に二つの効果を増やす〈震脚〉、〈社会:ストリート〉の達成値を上げる〈武名〉など。
・レッガー
強力なのが〈交渉〉と〈信用〉に有効でかつタイミングの制限がない〈虚言〉(秘技ですらない)。これは正直エラッタだと思う。
〈☨派遣依頼〉はレッガーだけだが、呼び出したトループとエンゲージしていることでダメージが増加する〈☨袋叩き〉が追加。両方とも秘技ではあるが、トループの性能が関係しないのでワンチャン狙えるかも。
・カブトワリ
〈ガンフーⅡ〉の効果が分かりづらいが、ようするに[部位:片腕]とか[部位:指]、[部位:口腔]の射撃武器でも〈ガンフー〉できるようになるということだと思われ。実はこの効果で「元力共通」も〈ガンフー〉可能になったりしている。
それ以外だと、AR消費なしで達成値を減少させる〈☨バックアップショット〉やムーブアクションを犠牲に射程とダメージを強化する〈☨狙撃態勢〉など。
・ハイランダー
〈軌道センス〉でハイランダーの天然ボケがいっそう加速する感じに。
〈守護天使Ⅱ〉や〈☨影の守り手Ⅱ〉はそれぞれの特技の対象を拡張してくれるし、〈☨謎のプレゼント〉はセットアッププロセスに荷物が届くように(装備は出来ない)。〈天使の羽根〉は便利な達成値補助技能だが、1アクト1回なのが悩みどころ。
・マヤカシ
エニグマに関しては経験点の問題が大きすぎるので除外で。正直、よほどの高経験点帯かゲストでしか実用性は得られないと思うの(秘技を粘った場合は例外)。
でもそれ以外の技能にも注目ポイントは多く、〈社会:ストリート〉〈社会:アストラル〉の達成値を伸ばす〈占星術〉を筆頭に、精神ダメージを肉体ダメージに変換する〈精神爆破〉やCSを手札分減らす〈迷宮〉など、マヤカシの使用感すら変えてしまう技能がちらほらしている。
・トーキー
〈名解説〉がタイトルで出落ちしている件を除けば、某リプレイのように使用場面は限定されるが、〈☨すり抜け〉や〈☨報道規制〉など「トーキーらしい」というより「トーキーが持っていると嬉しい」技能が追加されている。
そして〈脱がせの鬼〉は復活ならず。代わりにトーキー版〈※魔女の叫び〉である〈※取材の鬼〉が新規登録されている。
・イヌ
社会戦ダメージを受けている対象に男女平等パンチを行う〈強制執行〉が面白いところ。他は相変わらずの器用貧乏っぷり。
そんな中でダメージを増やす〈猟犬の牙〉は、戦闘系イヌには嬉しい効果。〈☨増援〉は言わずもがなイヌのみ。〈☨ハンター〉も復活したが、ダメージが増加するだけに留まっている(が、補正が大きいので高レベル帯では十分脅威に)。
・ニューロ
使い道のなかった[電制]先輩にようやく日の目が。〈☨スパイダーシルク〉をセットアップに使用し、仲間の攻撃に〈ウェポンフォロー〉を入れつつ、迂闊な装備を〈サイバークラック〉していくスタイル。まあ、言うほど強力でも有用でもないので、それぞれのキャストの動き方に合わせて適度な取得を。
〈タップマスタリー〉は攻防どちらの達成値も増強する第三の〈電脳〉選択肢。〈☨パワーサージ〉は精神ダメージを肉体ダメージに変換する秘技になりました。
※ちなみに〈☨カバーリング〉や〈障壁〉などはチャートを参照する前に使用タイミングが発生するため、変換後のダメージを移したり軽減したりはできません。〈※中和〉はRL判断。
な、長かった。あとは装備品と総評をさらりと別項目で。
ざっと眺めた限り、旧版から存在するマイナスナンバーの中で、極端に使用感が変わったものはありませんでした。
一方で正体を偽装する特技が全体的に扱いやすくなっていたり、情報収集系の特技が追加されていたりと、シーンに登場しやすい仕様が追加されています。
世界観の項目でも触れていましたが、「マイナスナンバーであることはデメリットではない」という公式の方向性が目に見える形での調節だと思います。
個人的にこういう世界観でのフォローも含めた細やかな上方修正は、とてもGJと好感を覚えますし、世のマイナスナンバー好きなプレイヤーも拒否なく受け入れられるアップデートなのではないでしょうか。
「嫌われ者でも! 憎まれっ子でも! やられ役でも! 主役を張れるって証明したい!!」
各マイナスナンバーの特徴をまとめると、
【ヒルコ】
変異器官も併用した高い攻撃力と防御手段、そして豊富な追加効果が取り揃えられている、絵に描いたような近接戦闘系スタイル。
が、代わりに攻撃を命中させる手段に乏しい「当てられれば最強」なパワーファーター。
【クロガネ】
別項目で解説通り、スタイル技能個々の性能だけ見れば他スタイルを圧倒しているが、それをクロガネだけで組み合わせて運用するとなると扱いに窮する戦闘特化の器用貧乏スタイル。
他スタイルと併用したり、特殊行動の〈協調開始〉と上手く掛け合わせることで真価を発揮する。
【アラシ】
各戦闘系スタイルの特技をいいとこ取りしつつ、ヴィークル用に改変している万能戦闘系スタイル。
ゴーストの扱いの変化により「アラシドローン」が意外な注目を浴びそうだが、差分値特技や〈操縦〉を伸ばす手段がないのが心配どころ。
【カゲムシャ】
協調行動っぽい感じで仲間のリアクションが行えるようになる秘技が追加された、自分の身を挺して他者を庇い補佐する万能補助系スタイル。
物理・精神どちらの攻撃にも対応でき、仲間の補助も行えておまけにリサーチも捗るという、旧版までの「神業以外では宿主を守れない系カゲムシャ」とは一線を画している。
【アヤカシ】
バラエティ豊かな〈血族〉から様々な役割へと派生でき、他のスタイルと組み合わせても思うがままに構築していける器用貧乏スタイル。
クロガネ同様、他スタイルとの併用を念頭に置く必要があるが、クロガネと違いほとんどのスタイルに噛み合わせて使用することが出来る。
◆マイナスナンバーの扱い
繰り返し紹介していますが、TNXにおいてマイナスナンバーがN◎VAの街中を出歩くことが非日常ではなくなりました。
マイナスナンバーを見かけることがあたり前ということはないですが、マイナスナンバーだからといって無暗に迫害するのは、今後時代遅れと言われることでしょう。
その辺りの世界観的フォロー、そしてルール的なフォローも、今回のサプリメント内できちんとなされています。
「マイナスナンバーの演出しにくさは仕様です。演出上の不具合はその卓で話し合って適当に解決してください。逆に考えるんだ、『しなくちゃってもいいさ』と考えるんだ」
と、これまでまるっと投げっぱなしにしていたとは思えない細やかな公式対応に、正直親指を立てて大空に笑顔でキメしたくなる気持ちです。
またそれに合わせて、正体を隠したり、逆に見つけたりする場合の閃きも紹介されています。
前述の通り、正体を隠す系特技が上方修正されており、それらを取得さえしていれば基本判定なしで正体を偽れるようになりました。
同時にプレイヤー間ではその情報を共有し、擬態しているキャストをどのように扱ってほしいかを事前に話し合うようにとのアナウンスが追加されています。
これまで卓間で自然に行われていた、もしくはしたくても行われなかった儀式が、公式サイドからようやく推奨されたわけです。
このように、キャストとゲストで扱いを分けて行こうというスタンスには、私個人は大賛成です。
メタ的と言われても詩人的と言われても、見せるべきは見せ、隠すべきは隠していった方が面白いアクトになると思います。
正直、もう読み込んだシナリオだからって遊んでつまらなかったことはないですし。むしろ「ボクが考えたキャストのムフフコンボ」とか「ボクの思いついた最高のシナリオギミック」を隠そうと躍起になってるアクトの方がよっぽど楽しくないものです。
そんなこんなで、マイナスナンバーについての設定的不具合は、これからはせいぜいXランク程度のものと受け止めてアクトに臨むといいでしょう。
以上、追加スタイル技能やアウトフィッツに関しては別項目で。
期待の新スタイル「クロガネ」、誰かに生み出された人工物を扱うためのスタイルです。
AIやマキナ向けのスタイルですが、魔器の再現もできるとのこと(その場合はアヤカシを入れなくてもいい)。まあ「自然の営みの外にいる存在」と解釈すればいいのでしょう。
まず〈フォルム〉という特技で自分の肉体を選択する必要があり、それに応じて神業の効果も変化します。とはいえ、基本は他スタイルの神業をコピーした内容ですが。
サービスやサイバーウェア、ファッション以外は大体選択できます。
重要なのはクロガネは「装備部位がほとんどない」ということです。
具体的には四肢がなく防具系もだいたい装備できません。義体も無理、ヴィークルも操縦できません(なぜか[部位:電脳]はあります)。
この欠点は〈フォルム〉やスタイル技能で軽減できます。あと地味に「アームユニット」でも可。
とはいえ、〈人鞘〉という1レベルだけで欠点を帳消しにしつつ演出面もフォローする特技(秘技ですらない)が存在するので、Xランク()とあまり変わらない程度の制限ではありますが。
あと旧版の〈魔器の一族〉のような「本体を破壊されたら死亡」という欠点がなくなりました。
故障・破壊したら本体を使用できなくはなりますが、死にはしません。むしろ使い捨て装備を使っちゃっても、効果がなくなるだけで大丈夫です。
ちなみに本体がなくても演出次第でシーンに登場できるとのことです。
つまり某アルペジオのようにメンタルモデルを動かしたりすれば、本体の戦艦がシーンに登場してなくてもいいよーといった感じ。
〈人鞘〉の演出であればかなりスムーズですし、エキストラで出演する分には別に〈人鞘〉いらないんじゃね? とも思います。
ところで〈フォルム:ストラクチャ〉で住居をクロガネ化できるわけじゃよ。
そしてワシの手元には「次元袋[部位:-]」があるんじゃよ。
暗黒空間に己自身を突っ込むと、あとは・・・わかるな?(アルカイック鮫笑)
◆協調行動
協調行動のルールが追加。というか協調行動が〈協調開始〉というスタイル技能化しました。
バディに装備させなければならないので、そもそも装備できるタイプのクロガネでなければ意味がありません。
意味はないけど協調行動自体は行えます。一応スタイル技能でバディにプラス修正を与えることはできるので、無駄ではないです(人形遣いの人形役になれる、みたいな)。
それ以外は旧版の協調行動と大体一緒です。
ただし、クロガネ自身が協調行動中に本体を使用できなくなりました。防具も装備から外され協調行動中のクロガネは無防備になります。〈人鞘〉で多少対策は取れますが、注意が必要です。
一方でヴィークルは同乗者として自分も乗っている扱いになれます。ちょっぴり安心。
◆スタイル技能
スタイル技能的には、協調行動前提の技能と単独使用可能な技能が半々くらいな感じ。
バリエーション豊富でクロガネひとつで色々な役割に入り込めますが、逆に極めようとすると結局そっちのスタイルが必要になってきます。
といいつつも他のスタイルにはない技能も多いので、「選ぶ甲斐があるスタイル」と言えるでしょう。特に〈MMI〉や〈☨魔技〉、〈☨オーヴァーロード〉など本当にコスパの良いスキルが揃っています。
・〈フォルム〉
本体を選択する。必ず一つ選ばなければならないが、経験点は必要ない。
それぞれのフォルムに一つずつ、そのフォルムの効果を増強・補佐する特技が存在する。
どれもこれも特技にしてはコスパの良い、むしろ秘技レベルの効果があるので、ぶっちゃけクロガネって旧《腹心》とかと同じくらい取り得なスタイルの気がする
・〈人鞘〉
前述の通り、自分の演出に自信がなければ取得推奨の特技。
1レベルで奥義レベルの便利効果が得られる。装備部位が復活するだけでもゴージャス。
・〈協調開始〉、他協調行動用特技
セットアップで使用し協調行動を行う。
基本バディを補助する効果だが、〈MMI〉のように自分も効果を得られるものがある。ただし、自分は本体が使えないことに注意。
・〈付喪神〉
アヤカシ扱いになれる。いいこともあるけどデメリットも大きい気がする。
メインの効果は〈自我〉の判定に修正。メジャーでも効果を発揮するけど、使う場面があるかといわれると微妙。
・〈☨魔技〉
「達成値+レベル×2」しつつさらに「ダメージ軽減不可」を与える。使用する武器は別に本体じゃなくてもいい。
・・・えっ?
・〈☨ユニゾン〉〈ユニゾンⅡ〉
バディを再起動する秘技と、その際に〈盾の乙女〉と同じ効果を得られる特技。
〈ユニゾンⅡ〉は「できる」なので、〈盾の乙女〉を発動しないことを選択することもできる。
・結構強力リアクション系
リアクション系のスタイル技能の「AR-1」という記述を無効化するのが〈ドミネイター〉。便利だけど1アクト1回。
一方でメジャー以外の判定に割り込みでリアクションできるのが〈☨オーヴァーロード〉。ARは消費するものの、使用回数に制限がない。トループ級にぜひ持たせたい。
クロガネ版〈※魔女の叫び〉だけど、代償に自分が[完全死亡]する〈※存在証明〉。目標値がないのでここぞというところで使える。
・それ以外の技能
それ以外とか言ってますが、どれもこれもコスパ的に魅力度の高い特技ばかりです。
クロガネ単品では実力を発揮できませんが、「クロガネを一つだけ」という選択をした途端、無類の力を(主にカット進行で)発揮することが出来ます。
逆に言うと、「クロガネ=クロガネ」や「クロガネ・レクトス」だと、いまいち戦闘力を発揮しきれない感じ。まあその欠点も協調行動と組み合わせることで十分フォロー可能ですが。
総評として「クロガネ? ああ、アレは最強のスタイルだよ。・・・ただし、あんたが使いこなせるならの話だけどな」といったスタイルです。
どれもこれもコスパが良く、高い単純火力・防御力を得られるのですが、攻防のバランスや副次効果、なにより柔軟性に難を感じます。情報収集能力は皆無で、スタイルの特性も合わせてリサーチ中ぼっちにならない努力が必要です。
それらを合わせて協調行動を上手く活用する(バディを見つける)ことが肝要となります。
結果、様々なアクトで堅実に使いこなせるスタイルとは言い難いでしょう。
「上手くバディが作れなくても泣かない」
「リサーチフェイズをただ見てるだけでも泣かない」
「そのままアクトの空気が自分に合わない方向へ流れても泣かない」
「やっと強力なコンボを決められたと思ったら後でリアルに逆恨みされても泣かない」
などなど、クロガネという名に反してリアルプレイヤーが受ける心理的圧迫は相当なもののように思います。
それらを乗り越えスタイルを貫ける自信があるプレイヤーであれば、クロガネはかなり魅力的なスタイルになるでしょう。
正直、同じように器用貧乏系のスタイルであるイヌは泣いていい。まあ、イヌはリサーチで動きやすいから差別化は出来ていますが。
以上、他マイナスナンバーなどはまた別の項目で。
◆CSルールのアップデート
追加というか、基本ルールに重要なアップデートパッチのお知らせ。
色々と難解だった[CS(コンバットスピード)]に正式な概念が追加されました。
[CSベース]キャラ作成時の元値。アクト中はほぼ使用しない。
[CS]アクト中に実際参照する基本値。能力値の変動は影響しないと明言(装備では変動)。
[CSカレント]戦闘中に使用する戦闘値。「CSの変動」と「カレントの変動」は別物なので注意。
大前提として、セットアップ終了時に[カレント]が[CS]に等しく合わせられます。
そしてイニシアチブは[カレント]を基準に選ばれ、ARを消費すると[カレント]が0になるわけです。
注意するのは、カット中に[CS]が増減したとしても、セットアップ終了のタイミングが来るまで[カレント]に影響を与えないということです(「オーバーカム」は例外としてエラッタ済)。
また、これにて〈☨完全奇襲〉の不自然具合が解消されました。というかこれ絶対[カレント]の概念前提の秘技じゃないですかやだー。
むしろ〈☨加速〉や〈☨制圧射撃〉からの〈☨完全奇襲〉が、正しくコンボとして成立するようになりました。カゲかっこいいじゃないですかやったー。
ともかくこの概念を追加することで、「キミが何を言いたいのか今一つ分からないのだが」だったCS周りのシステムが、スムーズで合点のいくものとなりました。
選択ルールということにはなっていますが、これを適用しない理由がありません。むしろなんでTNXに載せなかったのかが分かりません。
まあ、CS周りの不具合のツッコミを受けて、慌てて分かりやすい形に再構成したという可能性も微レ存ですが。
と言うかそうでもなければかなりファッキンジャップな所業だと、個人的には思っています。正直製作者が悪意を持ってルールを寸断したのではと感じるレベルです。
N◎VAのルールブックを上下巻に分けたところで、アリアンやシャードみたいには売れないって苦悩は分からなくはないのですが。
それにしてももう少し分け方ってものがあるのでは・・・
一応さらっとスタイル技能や装備を見直しましたが、このルール改定で使用感が変わるデータはなかったです。
あと[カレント]管理シートも付属してます。こっちは別になくても大丈夫だとは思いますが。
◆バッドステータスなどの追加
[BS:萎縮]と[BS:憎悪]が追加されました。
TNXのバッドステータス類と比べ、より限定的な状況で効果を発揮するバッドステータスです。
色々と演出にも組み込みやすく、
「キャスト1は恋人の敵であるゲストAを対象に[BS:憎悪]を永続して受けている。これを解除するためには○○する必要がある」
といったアクトルールを組んだり、それを解除することを目的としたハンドアウト・PSを渡すなど、戦闘よりむしろシナリオギミックに活用できそうな匂いがします。
あと[支配]の概念が追加されました。
ようするに旧版の「洗脳」の効果を戦闘不能ダメージとして再定義したものです。
それだけな感じです。特技でなくルール化されたので[ルール適用の優先度]的にはレベルが下がってるわけですが、まあそれで旧版より扱いづらくなることはないと思われます。
◆部位
新スタイル「クロガネ」を控え、部位に関するこまごまとした部分が明文化されました。
まあ、どんなわかりきってる概念であれ、言葉にすることって大切だよねという話です。
◆腹心
クロマクの《腹心》が再定義され、ゲストを連れて歩けるようになりました。
ただし、旧版に比べると弱目に調節されています。
旧版との違い
・作成時にボーナス経験点が得られない(無条件取得以外持っていない)
・腹心用の特技追加(カゲムシャ特技に非ず)
・神業は使用できないとルール化(ただし《ファイト!》などの対象にはできる)
・舞台裏はできないとルール化
・報酬点は持っていないとルール化、ただしクロマクのを拝借はできる
・ダメージ等では「永遠に退場」しない、ただしクロマクが退場すると腹心も退場する
神業枠を消費するわりに得られるものは少なく、総評すると、「スタイル・装備のキャパが増えるよ! やったねクロマクちゃん!」みたいな感じに。
あくまで自分で操作できるスタイル技能の幅を増やしたり、判定の手数を増やしたり、カット進行中のマトを増やしたり、自分はシーンに出ないで肉壁にしたり、といった役割が主になりそうです。
少なくとも旧版のように初期作成キャストでもタダ強になれる神業ではないです。ARの概念が変わったことで、たぶん想像以上に「その《腹心》っている意味あるの?」みたいになるかと思います。
もちろん、経験点を馬鹿みたいにつぎ込めば、他スタイルと一線を画す存在にはなれますが。
「それって他のキャストとバディ組めばいいだけじゃね?」というのが個人的意見。
それまでの《腹心》が万能すぎただけに、むしろなんで今までこれぐらいの下方修正を受けなかったのかと思うぐらいです。
これを妥当だと思うか、それともやり過ぎだと思うかは人それぞれだと思いますが。
これで公式がリプレイで「俺、経験点300点つぎ込んだ《腹心》が使いたいんですよ!」とか、自分たちで設定したボーダーラインをデトネーションするプレイヤーが出てこなければいいのですが。某☆みたいにキャストの経験点を犠牲にするならいいけど。
でも「ロゴス100本プレアクト購入」を本当にやってしまう、スタイル()を貫くリプレイもあったことだしなぁ・・・
話は逸れますが、☆は一見ネタ満載な設定やデータに見えて、アクト中の動き方は本当にニューロなキャスト&プレイヤーだったと思います。
ぶっちゃけ、個人的にあのリプレイの中で一番再登場して欲しかったゲストです。
設定やデータに関係なく、動き方ひとつで魅せられるという、N◎VAの良い側面を体現してる例ですよね。
◆トループ級
トループの概念が「トループ級」という言葉でシステム化されました。
そして旧版まで曖昧な立ち位置だったエニグマもトループ級に区分されることになりました。あと〈分身〉もトループ級扱いとなり、TNXでバグってた理由が合点いきました。
・・・そして「やっぱりルールぶつ切りにしてたんじゃね?」疑惑が再浮上するわけですが。
旧版との違い
・作成時にボーナス経験点が得られない(無条件取得以外持っていない)
・奥義は取得できない(秘技は2つまで可)
・1アクト1回まで(カット進行中は次カット登場なので早めの呼び出しが基本)
・舞台裏判定はできないとルール化
・戦闘不能ダメージを直接受けたらそのままダウンとルール化(スタンや説得は不可)
トループやエニグマも《腹心》と同じで、作成時のボーナスがなくなりタダ強な存在ではなくなりました。
「技能一つで情報収集特化トループ召喚」とか夢のまた夢な感じで、それをするなら自分で取得しろやな世界に変わりました。
やはりスタイル技能や装備部位の拡張、判定回数の強化が主な用途になりそうです。
しかし、秘技を選別すれば低経験点でも有用な役割を与えることは出来そうです。
たとえばセットアップ特技でのCS操作や能力値強化、ダメージ軽減やカバーリング要員、装備の持ち込みや手札交換などなど、《腹心》に与えるにはちょっともったいない使い捨てな汚れ役も、トループにガンガン押し付けてしまえばいいかと思います。
まあ、別に《腹心》にやらせてもいいと言えばいいのですが・・・
ちなみにエニグマは若干優遇されており、
「奥義の取得可」「毎シーン呼び出し可(逆に毎シーン消滅)」「カット進行中は即座に召喚」「ダメージはキャストと共有しない」
といった感じ。まあ分かりやすいし、旧版よりもイメージ通りですよね。
ただ、〈分心〉を複数取得することが難しくなってるのでその点は注意です。
とは言え、前述の通り「トループ級に何か教える前にまず自分を強化しろや」な状態なので、よっぽどのコンボでも夢想してない限り〈分心〉を多数取得する意味は皆無ですが。
〈※分身〉はあまり扱いが変わりませんが、装備破壊などの影響は共有されないようです(「共通のデータを持つ」だけでデータを「共有」しているわけではないから)。
バッドステータス類も本体に伝わらず、〈分身〉から本体へチュミミーンと絶対殺すマンはできない様子。
ただし、使用回数や使い捨て装備に関しては、誰かが使うと全員の所持品から消滅するとルールで明言されています。
扱いとしては、
〈※分身〉を使用する
→その時点のデータをコピーしてトループ級を作成する
→消滅するまで個別のトループ級として扱う(ただし使用回数類のみルールに従う)
といった感じです。
なので召喚してから〈※分身〉の装備を個々に入れ替えて「カブト分身」「バサラ分身」などに仕立て上げるのもOKみたいです。
・・・あ、〈※分身〉が鬼強な気がしてきた。
まあ、この辺りはなんかまだエラッタやFAQが出そうな感じですが。
以上、マイナスナンバーに関してはまた別項目で。
とりあえず暇が見えたので、申し訳程度にレビューしていく所存。
TNX発売時には再起動してなくて乗り遅れたからね。仕方ないね。
トーキョーN◎VA THE AXLERATION 追加サプリメント
「THE OTHER SIDE」レビュー
◆概要
主な追加項目は、世界観、ルール、特技や装備品などデータ類、シナリオ。
世界観やルールはページ数が少なく、追加データ類にコストのほとんどが割かれています。そのためか、見た目の厚さに反して内容は薄め。
◆世界観
世界観に関して、オオサカやカムイに関する記述はほとんどなく、TNXで書ききれなかったアストラルやヒルコ関連の記述を追加しているだけです。
マキナ(旧版におけるAI)の立ち位置も補完されているので、その点では嬉しい内容。ただ、アヤカシやヒルコにとっては目新しい記述が少なく、旧版までの世界観を振り返るに留まっています。
追加マップはフェスラー公国とヒルコ街。まあ無難な選択か。
フェスラー公国の成り立ちや現状などが説明されていますが、簡単にまとめてしまえば「人気スタイルのヒルコやアヤカシが登場しやすくなるように整備した」というところです。
ヒルコ街もますますのヒルコ天国となり、オオサカやカムイはあまり絡まないようにシナリオ考えていけばいいよ、というのが今の公式のスタンスとも受け取れます。
後述の追加ルールでも言及されていますが、ヒルコやアヤカシが大手を振って歩けるよう、公式サイドも相応の神経を払っている様子が窺えます。
TNXになりキャスト的にも中の人的にも、「マイナスナンバーだから」と敬遠する必要も敬遠される筋合いもなくなった、と解釈するべきでしょう。
◆追加オーガニゼーション
ヒルコ・アヤカシ関係の企業の現状が紹介されています。
聞きなれない企業としては、イワサキ系ケミカル企業「ヒラサカ」、日本から来たっぽいアヤカシ集団「羅生門」、真教版フリーメイソン「剣十字修道会」、ヘイロン版後方処理課「第四総務部」、夏系アストラル結社「中華最高陰陽議会」、国際空港へ向かう道路ミッドナイトロードに出没する強盗団「キャノンボール」など。
個人的なツボは、バサラが人気な割にあまり出番のない「汎元殿」です。
アストラル関係のシナリオやるなら、結構使い勝手がいい団体のような気がするのですが。
各血族の祖が持ち回りなせいか、ほとんど設定が組まれていないのも弄りやすいポイントだと思います。
それにしても、空港からN◎VAって直通のリニアレールがあった気がするのですが。
・・・まあ野暮は言いっこなしということで。
◆追加パーソナリティ
パーソナリティは紹介された組織の重要人物が無難に載っています。
注目ポイントは二代目J2かつ大佐の妹である和泉沙希中佐(少佐・大尉かもしれない)と、わりと美味い酒が酌み交わせるかもしれない“遊び人のヤマさん”ことミカヅチ部隊大隊長千住大和大尉。
あとはフェスラー公国の御曹司“そのチ○ンコ一体どうしたって言うかカゲはどこにいった”キャロル・フェスラーとか。
とりもなおさず、総じて全員無難な人選と言えます。
しかし”01”の種族がマキノイドに設定されているのだけは、なんだか納得いきません。
電脳的なゲストを何でもかんでもAI(マキノイド)に分類しちゃう公式の選定方法には、なんだかいつも疑問を感じます。
設定上「自我を持ったプログラム=マキノイド」じゃないはずなんですけどねえ・・・
しかし、ネバーランドのリーダーにはタタラがないとなれないのだろうか(今回は医者方面だけど)。
以上、他項目は別ページで。